Jacques Perritaz – Chap.03

洋梨の樹は、300年生きるんだ。100歳はまだ青春、200歳で大人になって、300歳になっても生き生きと実をつけてくれるんだ。

Jacques Perritaz / ジャック ペリタズ

のどの乾きを癒やしてくれるだけじゃない!?シードルリー デュ ヴュルカンの新キュヴェたちが登場!

シードルと言うとどれも甘ったるさがあって…と敬遠されることがあります。しかし、シードルリー デュ ヴュルカンのシードルは、世界最高峰のシードルのひとつで、世間一般のシードルの概念とは全く別の飲み物と言えます。

いまや、パリのフォーシーズンズホテル ジョルジュ サンクやラルページュなどでも提供されているというのを聞くと、初期のころから彼のシードル造りを見てきた身としては、とても誇らしい気分になります。

そして、その別格なシードルであるという理由が、そのままでは誰も栽培を続けずに消えてしまっていくだけだった古い品種を自然酵母の力だけで発酵させたというナチュラルな手法にあるというのも喜ばしいかぎりです。

古いリンゴの品種は、そのまま食べても酸っぱかったり、渋かったりと生食には適しません。

今のようにスーパーにいけば食料品が何でも手に入るような時代ではなく、日々の仕事が食べ物を作ったり集めたりということがメインだった時代においては、木になったリンゴなどの果実をどうにか食べようと思うのは当然の成り行きだったと思います。

そんな中、酸っぱかったり渋かったりするリンゴが、微生物の働きによる発酵の力でおいしく飲めるようなものになるという発見は、人類にとっては大きな発見だったのではないでしょうか。

そんな昔の人が味わっていたであろう、リンゴ本来の生命力を凝縮させたシードルを現代においても楽しめるのは、古い品種を次世代に残していきたいというジャックの熱い思いのおかげです。

冷蔵庫のなかった時代には、飲料水の確保や保存も非常に難しい問題であったと想像できます。

そんな中で、ワインやシードルやビールなどは、栄養価も高く同時に安全に飲むことができる水分として、水自体が貴重な存在であった地域にとっては、とても大切な存在であったと思います。

まさにのどの渇きを癒すために飲むのは、水ではなくビールやシードルで、人々の暮らしの中で欠かせない飲み物であったと想像できます。

まずは、そんなのどの渇きを癒すのにぴったりのシードルのご紹介です!

+ 造り手詳細

Cidre Turgowy / シードル チュルゴヴィ

ヴィンテージ:2019
タイプ:泡
産地:スイス
品種:リンゴ(トビアスラー、トゥルガウワー ヴァインアップフェル)

チュルゴヴィ(Turgowy) は、微妙に綴りが異なりますが、スイスの北東のドイツと国境を接する地域であるトゥールガウ(Thurgau 独語)もしくはチュルゴヴィ(Thurgovie 仏語)州で収穫されたリンゴから造られるシードルです。

このシードルは、トビアスラーとトゥルガウワー ヴァインアップフェルと呼ばれる2種類の品種のリンゴから造られます。

どちらも非常に古い品種で、トビアスラーは、1805年からスイス東部で栽培されているリンゴの品種です。果実は中程度の大きさで、緑赤の縞模様があり、果肉はしっかりとしていてジューシーで、酸味が強く、シードルに最適な一級品のリンゴと言われています。

トゥルガウワー ヴァインアップフェルは、1860年頃から栽培されていたとされる品種で、別名にチュルゴヴィのヴィーナスと呼ばれたりもするこれまたシードルに最適なリンゴ品種と言われています。果実は中くらいで赤と黄色がかった緑の色調が特徴です。果肉はやや荒く、シャキッとした食感と甘さを感じる酸味、華やかな芳香が特徴です。

この2019年のチュルゴヴィは、アルコール度数4.5%のセック表示で、リンゴや蜂蜜、ハーブ、白い花を感じさせるような華やかな香りとふくよかな果実味があり、そこに程よくフレッシュな酸味が加わる柔らかな飲み心地のシードルに仕上がっています。

チーズを挟んだサンドイッチやフィッシュアンドチップスなどをおともに、ぜひグビグビと飲んで頂きたいシードルです!

Poiré / ポワレ

ヴィンテージ:2019
タイプ:泡
産地:スイス
品種:洋梨(11種類)

今回のポワレのヴィンテージは2019年。

このヴィンテージが特別なのは、なんと甘さをほぼ感じないブリュットな仕上がりになっていることです!

洋梨からつくられるポワレは、果実自体が持っている糖度もあって、柔らかな甘味のある仕上がりになるヴィンテージが多いのですが、この2019年は「これって本当にポワレ?」と思うくらいキレのあるドライな仕上がりです。

当然、発酵もしっかりと進んでいるので表示アルコール度数も6.3%とやや高め。

香りには白い花や蜜を感じる華やかさはありますが、味わいは爽快で、力強い泡立ちと長い余韻が特徴です。

ちょうどこのヴィンテージの10年前。2009年のシードルリー デュ ヴュルカンのポワレは3年にわたって澱(おり)と一緒に熟成され、複雑なフレーバーを備えた傑作でしたが、ポテンシャル的には2019年も2009年匹敵する凄みがあります。

限られた数量しか入荷してきていませんので、気になる方はぜひお早めにお試しください!