「家族の歴史が刻まれ、祖父母が第二次世界大戦の直ぐ後に植えたブドウたちが息づく畑を守っていきたいと思ったんだ。永く持続可能であるために、ちゃんと自然に寄り添った向き合い方で。」
「待ち合わせは午後がいいな、その日はオーストリアでのスキーから帰ってくる日なんだ。」
初めての待ち合わせの日時をメールで打ち合わせした時に、ジャンから返ってきたメールを読んで、少し油断があったのは事実だ。
もちろん約束の時間に遅れないように、時間を計りながら余裕を持って向かったものの、はじめての訪問ということもあり、地図を睨みながらの移動となり、到着予定時刻が約束の時間ちょうどになりそうになってきた。
そして、その道すがらふと気づいたことは、今日訪問する先はアルザスの造り手であるという厳然たる事実であった。
比較的時間に大らかな、フランスという国にあって、アルザスは別、というジョークはしばしば耳にする。
嘘か本当か、大遅刻をしたためにアルザスの造り手との取引がなくなってしまったなんていうエピソードも聞いたことがある。
なんとか時間ぴったりにドメーヌに到着した時、案の定、ジャンは約束の時間の何時間も前に戻ってきていた。これがフランスの他の地域だとなかなかこうはいかない。
そもそも、バカンスから帰ってくるその日にアポイントを入れてもらえることもないだろう。

アルザスはその歴史的背景からもフランスの中でも特異な文化を備えた地域であるように思う。建物などの町並みもそこに暮らす人々の人柄もフランスの他の地域とは違った個性を放っている。
ヨーロッパが都市国家主体だった時代から、領域国家へと変容してくなかで、フランス語でアルザス=ロレーヌ地方と呼ばれるこの地は、フランスとドイツの間で揺れ動く数奇な運命をたどる地域となった。
一時はドイツの影響下に入り、また別のタイミングにはフランスの領域へと併合される。 そんな歴史を繰り返したアルザス=ロレーヌ地方は、フランス語とドイツ語の両方を話す人が多く暮らし、言語面でも文化面でもその両国の影響を大きく受けた特異な場所となった。
ことワインに関しても、フランスとドイツの双方の影響を感じるような、他の地域には無いアルザスならではのスタイルがあり、それがアルザスで生まれるワインの魅力となっている。
このアルザスの土地で、1584年からヴィニュロン(ブドウ栽培者・ワイン生産者)としての歴史を持っているのが、現在、若き当主ジャン ドレフュスが担うドメーヌ フィッシュバックだ。
しかし、その長い歴史とは裏腹に家族の歴史を継承し続けるというのは、非常に大変なことであったと言う。
当然ながら、ワイン造りはブドウ栽培だけで完結するわけではない。収穫で得られたブドウをその気候風土を表現したワインへと昇華させるために、醸造という神秘的なプロセスを経て初めてワインとして生まれ変わる。
ところがこの醸造というプロセスは、非常に手間がかかりリスクも大きい。そのため畑を所有していたとしても、自らワイン造りを担うというのは、誰しもにもできることではなかった 。
ジャンの家族もアルザスの地に恵まれた条件のブドウ畑を所有していたが、近年は自分たちでワインづくりに取り組むことはなく、畑は貸し出されているのみだった。

ドメーヌ フィッシュバックの歴史を再び再スタートさせたのが、ジャン ドレフュスだ。
ジャンは、ブルゴーニュの醸造学校で学び、その後オーストラリアのワイナリーなどで働き始めた。ある程度の仕事を任されるようになると、自信が理想とする自然環境に寄り添った栽培方法であり醸造方法を模索するようになった。
そして、満を持して生まれ故郷であるアルザスの地に戻り、契約期間が終わり少しずつ返却されてきた畑でブドウを栽培し、家族の歴史と誇りを備えたドメーヌ フィッシュバックとしてのワイン造りを再開することになる。
再開するにあたって、彼が大切にしている価値観を体現すべく、自然派ワイン造りを採用した。畑では化学肥料や除草剤などを用いず、ビオディナミを取り入れた有機栽培を実践している。
そのコンセプトは当然醸造所内にも持ち込まれ、 自然酵母による発酵を待ち、人間都合に味わいを調整するための添加物の類も用いない。一部のワインには酸化防止剤としての亜硫酸塩を使用しているが、近年はこの酸化防止剤を一切添加しないワインも手掛けている。
ジャンに畑を案内してもらうと、辺り一帯の村々を見渡せる、見晴らしの良い丘の上のグランクリュの畑をはじめとして、多彩多様な土壌特性を備えた数々の畑に出会うことになる。
現在彼は、4haにおよぶ畑でブドウを栽培しているが、 この畑はなんと21もの区画に分かれて存在していると言う。小さな区画はわずか2aほどの面積しかなく、4haと言っても畑仕事に費やされる労力は膨大だと言う。


彼と一緒に畑を巡ると、ジャン自身がいかに家族の歴史を大切にしているかを感じることができる。
「このシルヴァネールは樹齢80年くらい、このピノ ノワールは、樹齢70年。どれも第二次世界大戦が終わった直ぐ後に、祖父と祖母が2人で植えたものなんだ。」
1871年、プロイセン王国が普仏戦争でフランスを破り、アルザス=ロレーヌ地方を国土の一部として以来、わずか100年ほどの間に、この地は何度も戦火に見舞われた。ドイツが第一次世界大戦で敗れると、アルザス=ロレーヌ地方は紆余曲折を経てフランス領となり、 ナチス・ドイツが第二次世界大戦で再びフランスを破って、首都パリを占領すると、同年8月7日、再度アルザス=ロレーヌ地方を自国に編入した。そしてそのナチス・ドイツが敗北し、第二次世界対戦が終結したことで、現在の国境が定まった。
この戦火の傷跡は、ブドウ畑が広がる丘の上からドイツを望む方向に見える、別の丘に、今なお残された塹壕の跡などで見て取れる。それは決して遠い昔の話ではなく、祖父母が生きた時代まで続いた悲劇であることをジャン ドレフュスをはじめ、多くのアルザスの人が今も尚心に頂いていると感じる。
だからこそ家族の生きた証としてのブドウ畑を将来にわたって守り続け、ヴィニュロン(ブドウ栽培者・ワイン生産者)としての家族の歴史を途絶えさせないという強い意思が、ジャン ドレフュスを自然派ワインの造り手という困難な道を歩むことを決意させたのだと感じられる。
この極上のテロワールの畑に植わる高樹齢のブドウから生み出されるワインたちが、眩いばかりの表現力を放っているという事実は、暗い歴史を経て明るい未来の到来を予感させる何よりの希望だと思えてならない。
ドメーヌ フィッシュバックのワインは、品種や造り方によらずどれも真っ直ぐな味わいと芯の強さを備えている。決して浮かれることなく慎重に、それでいて決して曲げることのない強い信念を持ったジャン ドレフュスの人柄が、実に純粋にあらわれている。
アルザスの気候風土だけにとどまらず、その歴史すらも感じさせてくれるような。人々の暮らしと大地の匂いを感じさせてくれるようなワインだと思う。






Crémant d’Alsace Brut / クレマン ダルザス ブリュット

ヴィンテージ:NV
タイプ:泡
産地:フランス アルザス地方
品種:シャルドネ 60%、オーセロワ 40%
ビオロジック認証を取得している友人からブドウを買い入れて造った瓶内二次発酵タイプのスパークリングワイン。アルザスの自然派生産者の多くが採用している二次発酵時の酵母及び糖分添加をせずに、翌年に糖度の残ったモスト(ブドウ搾汁)を加えて瓶内二次発酵を促すスタイルで、酵母も砂糖も添加しないことから、自然派ワインの理念に沿ったスパークリングワインとしては理想的です。
シャルドネ主体ということもあり、トースト香を感じるような香ばしいタイプのスパークリングワインではなく、ブラン ド ブランのシャンパーニュを想起させるような、柔らかで丸みのある果実味と爽快な酸味とのバランスが心地良いワインに仕上がっている。繊細ながらもしっかりとした泡立ちがあり、気品ある満足度の高いワインとなっている。
Suff[hic!] Blanc / スフィック ブラン

ヴィンテージ:2020
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:シルヴァネール、オーセロワ、シャスラ
アルザス地方といえばその主流は白ワインで、割合としては9割にも及ぶとか。加えて、アルザスでは、この地方に特徴的な様々な白ブドウの品種が栽培されているのも特徴です。
ドメーヌ フィシュバックにとってのスタンダードワインと位置づけられたこのスフィック ブランで用いられている品種もアルザスで馴染みの深いシルヴァネール、オーセロワ、シャスラといった品種のブレンドで造られています。
この組み合わせは、ビートニックとエットニックというキュヴェで用いられていたブドウの組み合わせで、ビートニックとエットニックをブレンドしたようなワインを造ることで、より複雑で個性が際立った白ワインとなることを意図しました。
初ヴィンテージとなった2020年は、少しピチピチとした微発泡感があり、香ばしい風味とコクのある旨味を備えたバランスとなっていて、抜栓直後はビートニックのイメージに近い印象です。それが、抜栓翌日になるとキラキラとしたミネラル感と華やかな風味が感じられるようになり、エレガントさを垣間見ることができるようになります。
少しほろ苦さを感じる山菜や、新鮮な魚介の天ぷら、寒い季節には柑橘を効かせた鍋物などと相性が良さそうです。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。 また、他の多くのドメーヌ フィッシュバックのワインと同じく、抜栓後数日たってもバランスを崩すことなく安定した味わいを楽しませてくれます。
Pinot Gris / ピノ グリ

ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ グリ 100%
開放的で華やかなニュアンスではなく、クリーンで落ち着いた印象の風味で、ほのかに香ばしさを感じます。
他のラインナップの白ワインと比べて、そこまで強く主張しませんが、オレンジの皮やハーブの香りがあり、余韻にはじわりと広がる優しい旨味があります。
清涼感と飲み飽きのなさは心地よく、食事と一緒に楽しむことで、思わぬ食材の香りを引き出す名脇役的なスタイルで、特にたらの芽・ふき・うど・よもぎ・筍・山葵の葉などの野山の幸との相性は絶品です。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
Ethn[hic!] / エットニック

ヴィンテージ:2018
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:オーセロワ 100%
2018年から、綴りがマイナーチェンジしました。 綴りが異なりますが、エスニック(民族的・異国風)と意味を重ねて名付けられたと推測されるワインで、実際にこのワインは、白い花を思わせる可憐な香りに、ヨーグルトを思わせるような、なめらか旨味と柔らかい酸味があり、どこかトロピカルで開放的なイメージを与えてくれます。
2018年はさらに、ビートニック同様に少しピチピチとした発泡感があり、味わいに香ばしさが加わります。こちらは「ふきのとう」などほろ苦さのある食材の天ぷらと一緒に楽しむと、みずみずしい旨味と山菜の香りが口いっぱいに広がります。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
Ethnik / エットニック

ヴィンテージ:2017
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:オーセロワ 100%
エットニックは、微妙に綴りが異なりますが、エスニック(民族的・異国風)と意味を重ねて名付けられたと推測されます。実際にこのワインは、白い花を思わせる可憐な香りに、ヨーグルトを思わせるような、なめらか旨味と柔らかい酸味があり、どこかトロピカルで開放的なイメージを与えてくれます。決して甘みがあるわけでなく、果実味と酸味のバランスは秀逸で、その豊かな果実味が、スパイスを効かせたエスニックな食事にも相性がばっちりです。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
Muscat / ミュスカ

ヴィンテージ:2018
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ミュスカ 100%
アロマティックなミュスカという品種の個性を引き出すために、およそ半分のブドウをマセレーション(醸し)をし、残り半分は通常の白ワインの製法と同じく直接圧搾したものを発酵させ、それらをブレンドして仕上げた白ワインです。野花の蜜やフェンネルなどのハーブを思わせるような香りがあり、 それでいて飲み口はすっきりとドライで、嫌味にならない程度のタンニン分がワイン全体の味わいを引き締めてくれます。四川系の辛味のある中華料理や、春の山菜のほろ苦さにも相性が良く、洋の東西を問わずあらゆる食事と良い相性を備えています。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ミュスカ 100%
2019年は上質な紅茶のような複雑で濃密な香りがあり、ワイン単体でぐいぐいと惹き込まれます。飲み口に鈍重さはなく、充実した果実味とドライな余韻のバランスが心地よい飲み飽きしないバランスとなっています。ぜひこのワインと一緒に試して頂きたいのが、馬告(マーガオ)と呼ばれる台湾のスパイスや四川料理でよく使われる花椒(ホアジャオ)を用いた料理です。その華やかなスパイスの風味が、ワインと一緒になることで、さらに引き立ちます。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
ヴィンテージ:2020
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ミュスカ 100%
2020年は、これまでよりもエキゾチックな風味が強く感じられる仕上がりになっており、紅茶のような香ばしい雰囲気とミュスカ特有のアロマティックなニュアンスがいきいきと感じられるワインとなっております。
造り手曰く、「かなりマセレーション(醸し)の頃合いがわかってきた」とのことで、前年度よりもマセレーションの期間は短くなっていると言いますが、香ばしい旨みはしっかりと感じられ、少し濁りのある色調と相まって、相変わらずも中華系のスパイス等との相性が良いワインとなっています。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
BeatN’Hic / ビートニック

ヴィンテージ:2018
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:シルヴァネール、シャスラ
ドメーヌ フィッシュバックのワインは、クラシック音楽のようなスタイルと紹介しつつも、ビートニックは、そのワインの名前からもエチケット(ラベル)のデザインからも、 ニューウェイヴやハウスといったビート(拍・打点)を感じる音楽のイメージと重なります。ビートニク(Beatnik)とは元来、第二次世界大戦後のアメリカの文学界で異彩を放ったグループの思想や行動様式に影響を受けた人たちのことで、特にヒッピー文化で受け入れられていたと言います。
そんな自由な雰囲気を味わいからも感じられ、少しぴちぴちとした口当たりがあり、同時に香ばしさと旨味の広がりを感じます。全体のバランスとしては酸もあり爽快なワインですが、メリハリの効いた果実味が、飲み飽きさせない魅力となってます。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
Riesling Grand Cru Altenberg de Bergbieten / リースリング グラン クリュ アルテンベルク ドゥ ベルグビテン

ヴィンテージ:2017
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:リースリング 100%
ドメーヌ フィッシュバックが誇る、グラン クリュに格付けされた恵まれたテロワールに植わるリースリングを用いて生み出されるワイン。樹齢が比較的若いこともあって、リースリング特有の重厚感のある風味は(提供温度によるものの)控えめで、シャープなミネラル感と伸びやかな酸味、フォーカスのしっかりとあった果実味、奥に秘めた鉱物的なニュアンスが絶妙にバランスしています。
備えている風味は強く、現時点であればきっちりと冷やし目の温度にして飲むことで、爽快さが全面に出て、クリーンかつドライな食事を選ばずに楽しめるバランスとなっています。
個人的なオススメは、胡麻やごま油を使った料理で、例えば、蒸して裂いた鶏胸肉と新玉ねぎやトマト、パクチーなどを黒酢かバルサミコ酢、醤油、ごま油のドレッシングであえて炒りゴマをふりかけたサラダなどが最高です。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰めの際に極少量の亜硫酸塩(酸化防止剤)のみを加えて造られます。
Suff[hic!] Rouge / スフィック ルージュ

ヴィンテージ:2020
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%
アルザス地方といえばその主流は白ワインで、割合としては9割にも及ぶとか。その残り1割をになう赤ワインは、ピノ ノワールを用いて造られます。
ドメーヌ フィシュバックにとってのスタンダードワインと位置づけられたこのスフィック ルージュで用いられている品種ももちろんピノ ノワールで、マセラシオン(果皮を果汁に浸漬する作業)の期間をやや短くし、フレッシュさと飲み心地の良さを引き出すようにしています。
2年目となる2020年は、淡い味わいであった2019年と比較するとより凝縮感を感じるバランスとなっていて、カシスのコンフィチュールを思わせる華やかな風味にスパイス、火山を思わせるスモーキーさがあり、いきいきとした躍動感のある果実味が楽しめます。
香ばしさがあるので、秋冬の季節には野鳥などのジビエ料理などと相性が良さそうです。野鳥でなくても、香り高いキノコなどをバターで味付けしたソースを鶏もも肉のローストに添えたものなどと一緒に楽しむのも良いでしょう。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。
また、他の多くのドメーヌ フィッシュバックのワインと同じく、抜栓後数日たってもバランスを崩すことなく安定した味わいを楽しませてくれます。
Pinot Noir Graureben / ピノ ノワール グラウレーベン

ヴィンテージ:2017
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%
ドメーヌ フィッシュバックが出かけるピノ ノワールは、現当主であるジャン ドレフュスの祖父母が、第二次世界対戦の直後に植樹したもので、その樹齢は70年程に達します。 この高い樹齢と恵まれたテロワールによって、非常に高い熟度が得られ、黒系果実のコンフィチュールのような濃密な果実味があり、それでいてしなやかな口当たりと華やかな余韻が楽しめる極上のバランスになっています。
いわゆるピノ ノワールという品種から想起される線の細いタイプではなく、フランス オーベルニュ地方の赤ワインに見られるような「火」のニュアンスを感じられたり、イタリア ピエモンテ地方の赤ワインにも通じるギュッと詰まった密度があります。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰めの際に極少量の亜硫酸塩(酸化防止剤)のみを加えて造られます。
ヴィンテージ:2018
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%
テロワールとおよそ70年という高い樹齢の影響か、もともと熟度の高いドメーヌ フィッシュバックのピノ ノワールですが、暑い夏に見舞われた2018年に関しては、もう一段階集中力の高い果実味のレベルになっています。実は、はじめての訪問時の試飲でも「おおっこれは」と驚かされたのが、このワインです。もちろん力強い果実味があり、エネルギーあふれる味わいなのですが、それでいて乱暴なわけでなく、しっとりとしなやかな風味を同時に備えているワインです。
繊細で淡い表現力を持ったワインの多い印象のあるアルザスのピノ ノワールですが、このワインに関しては、チェロやコントラバスのような重心の低い部分にしっかりと響くような、そんな趣のある風格のある味わいになっています。
このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰めの際に極少量の亜硫酸塩(酸化防止剤)のみを加えて造られます。