Jean Dreyfuss – Chap.02

今朝スキーから早めに帰って来たんだ。約束の時間に遅れたら大変だろ。

Jean Dreyfuss / ジャン ドレフュス

春の食材の「ほろ苦さ」に寄り添うドメーヌ フィッシュバックの白ワインたち!

日本の春の味覚といえば、たらの芽・ふき・うど・よもぎ・筍などなど、繊細な風味とほろ苦さを備えた野山の幸が魅力です。なかなか出会う機会は少ないですが、わさびの葉や花などもその得も言われぬ風味に心奪われます。

こういった食材と一緒にワインを楽しむ場合は、清涼感とピュアさがありつつも素朴な旨味で、こうした食材の香りや苦味を引き立ててくれるようなバランスの白ワインが欲しくなります。

ところが、清涼感のある自然派の美味しい白ワインと言うと、そもそもの生産量が赤ワインと比べて少ないこともあり、なかなか見つけるのが困難です。

果実味や風味が凝縮しすぎないという意味では、緯度の高い冷涼な気候の産地が有利ですが、薄っぺらい味わいになってしまっては意味がありませんので、収穫までじっくりと果実が成熟するのを待つ(その間の気候リスクを引き受ける)忍耐力が必要です。

また、自然派ワイン造りで考えた場合、果汁を果皮などと浸漬する赤ワインと比べて、果汁のみで発酵させる白ワインは、自然酵母のみによる発酵や酸化防止剤無添加による熟成・瓶詰により慎重さが求められます。

そんな地理的・気候的要件と自然派ワイン造りのリスクを引き受ける心構えと慎重さを兼ね備えた人物が、ドメーヌ フィッシュバックのジャン ドレフュスだと考えています。

たまにちょっと抜けたところもあるのですが、基本的には色々ときっちりしていて、安心感があります。それでいて、変に保守的にならず、前向きな攻めの姿勢で自然派ワイン造りに挑戦してくれるのがまた頼もしく感じます。

さて、今回ご紹介するのは、そんなジャンの3種類の白ワインたちです。

+ 造り手詳細

Pinot Gris / ピノ グリ

ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ グリ 100%

開放的で華やかなニュアンスではなく、クリーンで落ち着いた印象の風味で、ほのかに香ばしさを感じます。

他のラインナップの白ワインと比べて、そこまで強く主張しませんが、オレンジの皮やハーブの香りがあり、余韻にはじわりと広がる優しい旨味があります。

清涼感と飲み飽きのなさは心地よく、食事と一緒に楽しむことで、思わぬ食材の香りを引き出す名脇役的なスタイルで、特にたらの芽・ふき・うど・よもぎ・筍・山葵の葉などの野山の幸との相性は絶品です。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

Ethn[hic!] / エットニック

ヴィンテージ:2018
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:オーセロワ 100%

2018年から、綴りがマイナーチェンジしました。 綴りが異なりますが、エスニック(民族的・異国風)と意味を重ねて名付けられたと推測されるワインで、実際にこのワインは、白い花を思わせる可憐な香りに、ヨーグルトを思わせるような、なめらか旨味と柔らかい酸味があり、どこかトロピカルで開放的なイメージを与えてくれます。

2018年はさらに、ビートニック同様に少しピチピチとした発泡感があり、味わいに香ばしさが加わります。こちらは「ふきのとう」などほろ苦さのある食材の天ぷらと一緒に楽しむと、みずみずしい旨味と山菜の香りが口いっぱいに広がります。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

Muscat / ミュスカ

ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ミュスカ 100%

アロマティックなミュスカという品種の個性を引き出すために、およそ半分のブドウをマセレーション(醸し)をし、残り半分は通常の白ワインの製法と同じく直接圧搾したものを発酵させ、それらをブレンドして仕上げた白ワインです。

2019年は上質な紅茶のような複雑で濃密な香りがあり、ワイン単体でぐいぐいと惹き込まれます。飲み口に鈍重さはなく、充実した果実味とドライな余韻のバランスが心地よい飲み飽きしないバランスとなっています。ぜひこのワインと一緒に試して頂きたいのが、馬告(マーガオ)と呼ばれる台湾のスパイスや四川料理でよく使われる花椒(ホアジャオ)を用いた料理です。その華やかなスパイスの風味が、ワインと一緒になることで、さらに引き立ちます。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。