Jean Dreyfuss – Chap.05

アルザスのワインは、キュヴェが多くなりがちだよね。僕もそう思うよ。

Jean Dreyfuss / ジャン ドレフュス

今後ドメーヌの軸となるスタンダードキュヴェ

今日ご紹介するのは、先月リリースしたピック ニック 2019(完売)とイックエール 2019(僅少)という2種類の白ワインも好評なアルザスの新星ドメーヌ フィッシュバック!

そのドメーヌ フィッシュバックにとって、今後軸となるキュヴェのご紹介です。

アルザスといえば、畑ごと品種ごとにワインを造り上げることを基本としている場合が多く、必然的に造られるワインの種類が多くなってしまう傾向があります。

これは土地や品種などの特性を細やかに理解してそれを尊重したいと言うアルザスの生産者の強い想いを反映しているスタイルだと思います。

しかしながら、買い手としてはあまりにも種類が多いと混乱してしまいますし、何から購入すればよいかなど悩みが尽きません。

ドメーヌ フィッシュバックも4haの畑は、21もの区画に細分化されており、基本的には区画ごと品種ごとにワインを造っていますが、さすがにこの全てを造り分けるというのは、収量的にも現実的ではありません。

ドメーヌ フィッシュバックの当主のジャン ドレフュスも、アルザスのキュヴェが多すぎる問題は認識しているようで、ある程度ワインの種類を絞っていきたいと考えていると話してくれました。

そのような文脈の中で、ドメーヌフィッシュバックの中心的存在のワインとなるのが、今回ご紹介する赤・白2種類のスフイックです。

スフイック ルージュはピノ ノワールを用いたサンスフル(亜硫酸無添加)のキュヴェで、今年の8月に「思わずニンマリしてしまうワイン」として2019年ヴィンテージをご紹介し、こちらもご好評いただき完売しました。

今回ジャンを訪問した時に聞いた話によると、今後はこのスフイックの赤・白の生産を増やしていき、スタンダードな位置づけのキュヴェとして安定的に供給できるようになりたいということでした。

ということで、ちょっぴりボリュームもあるということで、価格的にもがんばって抑えて(ユーロ高なのであまり変わってないように思われるでしょうが…)ご紹介させていただきます!

加えて、すでにお届けしているお客様もいらっしゃるのですが、クレマン ダルザスのロット切り替わりにともなってエチケット(ラベル)のデザインが変更されています。こちらもあわせてご紹介させていただきます!

+ 造り手詳細

Suff[hic!] Blanc / スフィック ブラン

ヴィンテージ:2020
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:シルヴァネール、オーセロワ、シャスラ

アルザス地方といえばその主流は白ワインで、割合としては9割にも及ぶとか。加えて、アルザスでは、この地方に特徴的な様々な白ブドウの品種が栽培されているのも特徴です。

ドメーヌ フィシュバックにとってのスタンダードワインと位置づけられたこのスフィック ブランで用いられている品種もアルザスで馴染みの深いシルヴァネール、オーセロワ、シャスラといった品種のブレンドで造られています。

この組み合わせは、ビートニックとエットニックというキュヴェで用いられていたブドウの組み合わせで、ビートニックとエットニックをブレンドしたようなワインを造ることで、より複雑で個性が際立った白ワインとなることを意図しました。

初ヴィンテージとなった2020年は、少しピチピチとした微発泡感があり、香ばしい風味とコクのある旨味を備えたバランスとなっていて、抜栓直後はビートニックのイメージに近い印象です。それが、抜栓翌日になるとキラキラとしたミネラル感と華やかな風味が感じられるようになり、エレガントさを垣間見ることができるようになります。

少しほろ苦さを感じる山菜や、新鮮な魚介の天ぷら、寒い季節には柑橘を効かせた鍋物などと相性が良さそうです。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。 また、他の多くのドメーヌ フィッシュバックのワインと同じく、抜栓後数日たってもバランスを崩すことなく安定した味わいを楽しませてくれます。

Suff[hic!] Rouge / スフィック ルージュ

suffhic

ヴィンテージ:2020
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%

アルザス地方といえばその主流は白ワインで、割合としては9割にも及ぶとか。その残り1割をになう赤ワインは、ピノ ノワールを用いて造られます。

ドメーヌ フィシュバックにとってのスタンダードワインと位置づけられたこのスフィック ルージュで用いられている品種ももちろんピノ ノワールで、マセラシオン(果皮を果汁に浸漬する作業)の期間をやや短くし、フレッシュさと飲み心地の良さを引き出すようにしています。

2年目となる2020年は、淡い味わいであった2019年と比較するとより凝縮感を感じるバランスとなっていて、カシスのコンフィチュールを思わせる華やかな風味にスパイス、火山を思わせるスモーキーさがあり、いきいきとした躍動感のある果実味が楽しめます。

香ばしさがあるので、秋冬の季節には野鳥などのジビエ料理などと相性が良さそうです。野鳥でなくても、香り高いキノコなどをバターで味付けしたソースを鶏もも肉のローストに添えたものなどと一緒に楽しむのも良いでしょう。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

また、他の多くのドメーヌ フィッシュバックのワインと同じく、抜栓後数日たってもバランスを崩すことなく安定した味わいを楽しませてくれます。

Crémant d’Alsace Brut / クレマン ダルザス ブリュット

ヴィンテージ:NV
タイプ:泡
産地:フランス アルザス地方
品種:シャルドネ 60%、オーセロワ 40%

スパークリングワインは、やはり人気のあるカテゴリではあるのですが、実は、個人的には飲む頻度は少なめです。というのも、ペティアンだと造り手の個性が感じにくく、 ほんのり甘さの残ったフレッシュ&フルーティーという味わいに多くが落ち着いてしまうのと、一方でシャンパーニュに代表される瓶内二次発酵のスパークリングワインは、糖分・酵母添加によって生まれる力強い泡立ちが、繊細なニュアンスをマスクしがちのように感じるからです。

そんななかでも個人的なお気に入りは、アルザスの自然派生産者たちが造る「原酒となるワイン+翌年のモスト(ブドウ搾汁)」で瓶内二次発酵されて造るクレマン ダルザスです。

砂糖などの糖分ではなく、ブドウ由来の果汁で糖分を添加し、当然その果汁に含まれる活力のある酵母の働きで酵母添加なく二次発酵を促す。ブドウだけの力で生まれるこのスパークリングワインは、他の瓶内二次発酵のスパークリングワインと遜色ない泡立ちや安定感を持ちつつ、畑や造り手ごとの個性をしっかりと発揮したピュアなワインの味わいを楽しめる贅沢な逸品だと思います。

はじめてこのスタイルのワインを飲んだのは、ドメーヌ ジュリアン メイエーのクレマン ダルザスだったと記憶していますが、パトリック メイエーにお会いした折に、「糖分添加も酵母添加もしないのだ」と聞かされて、自分のフランス語聞き取り力を疑って、何度も確認してしまいました。

スパークリングワインはあまり飲まない…と冒頭に書きましたが、以来、このスタイルのスパークリングワインは大好きで、「飲むなら自然派生産者のクレマン ダルザス!」とレストランなどでリクエストすることもしばしばです。

be a good friend とお付き合い頂いているドメーヌ フィッシュバックにもこのスタイルのクレマン ダルザスがあると知った時は、とても嬉しかったです。

ドメーヌ フィッシュバックのクレマンは、品種がシャルドネとオーセロワということもあり、いわばブラン ド ブランで、爽快さとキレのよい飲み口、余韻の柔らかな果実味が魅力です。

飲み飽きることもなく、飲み疲れることもない。アペリティフから前菜、魚料理とどんなお料理にも相性良く寄り添ってくれるワインです。