Jean Dreyfuss – Chap.06

Jean Dreyfuss

ゴミを減らしたいって?もちろん興味あるよ!地元アルザスでも取り組みたいね。

Jean Dreyfuss / ジャン ドレフュス

少し打ち解けてきた気がする

そんな印象を持ったのは、この6月にドメーヌ フィッシュバックのジャン ドレフュスにいつものように会いに行った時のこと。

ドメーヌ フィッシュバックのスタートは2017年。そのワインがリリースされるタイミングとほぼ同時にbe a good friendがスタートし、彼とはファーストヴィンテージからのパートナーです。

最初の頃はお互いに心配な事や不安なことがあったはずで、彼のもとを何度も訪ねて、時間をかけて関係性を築いてきました。

“be a good friend” をコンセプトに掲げる身ですが、私(藤木)自身も決して社交的なわけでなく、フランス語の拙さもあって良い関係が築けているなと感じるまでは時間がかかった印象です。

これは、私が年長であることやジャンの人柄も関係していると思うのですが、はじめての出会いから3年余でやっと「打ち解けてきた」と感じます。

最近はもっぱら「いかにエネルギー消費を減らすか」や「輸入に伴い生じるゴミをなんとか減量できないか」など、環境問題に関して話して盛り上がることも多く、色々と未来を見据えて一生に挑戦できそうでワクワクしています。

さて、この関係性の変化にシンクロして感じるのが、ジャンの手掛けるワインの成長です。

ワイン造りに関しても、当初は亜硫酸添加を行ったキュヴェと濾過(ろか)も亜硫酸添加も行わないスタイルのキュヴェを造り分けていましたが、現在は純粋な自然派ワインのスタイルに大きくシフトして、一部の残糖による再発酵が懸念されるキュヴェ(未輸入)を除いて、ほとんどのワインが無濾過・無添加となっています。

これに伴い、それぞれのワインの風味も生き生きとした表現力豊かなものになり、キュヴェごと品種ごとの個性がしっかりと描き分けられた、魅力あふれるワインとなっています。

このいくつかのヴィンテージにわたってのワインの変化を振り返ってみると、ここ数年の彼の人生の歩みがワインに映し出されているように感じられ、とても嬉しくなります。

ここ数年は、会いに行くたびに表情からワイン造りへの自信が深まっていくのが見て取れますし、色々なアイデアや発想をリスク恐れずに挑戦して結果を出しています。もちろん当初からの謙虚さは失われずに、誠実な仕事の積み重ねの上に挑戦が組み込まれているので、フォーカスがしっかりと定まった安定感のある味わいでもあります。

そういえばこういう経験が過去にもあったな…と思い出されるのが、コート デュ ローヌ地方アルデッシュ地区の造り手ジェローム ジュレとの思い出です。

ジェロームが初ヴィンテージの瓶詰め前のサンプルを持参したサロンで出会い、当初はいわゆる「自然派(自然酵母・無濾過・亜硫酸無添加)」と「慣行的(培養酵母・濾過・亜硫酸添加」の2ラインのラインナップでスタートし、その経験を踏まえて、しっかりと自信を持って自然派ワインにシフトし、大成功を収めたというストーリー。この物語を傍らで一緒に歩めたのが良い思い出です。

さてさて、今回ご紹介するのは新入荷となるコスミックを含めた5種類のワインになります!

☆ クレマン ダルザス ブリュット NV
○ スフィック ブラン 2020
○ ピックニック 2019
○ イックエール 2019
○ コスミック NV(18-19-20)

ピックニック、イックエール、コスミックは極少量のみの入荷となります。

上記新着に加えて、ストックにある赤ワイン2種類もあらためて今の印象をまじえてご紹介します!

● スフィック ルージュ 2020
● ピノ ノワール グラウレーベン 2018

どのワインも相変わらずの抜群の安定感があり、それでいてしっかりと個性も感じられます。色んなシーンで安心して楽しんでいただけるワインたちだと思います!

+ 造り手詳細

Crémant d’Alsace Brut / クレマン ダルザス ブリュット

ヴィンテージ:NV
タイプ:泡
産地:フランス アルザス地方
品種:シャルドネ 60%、オーセロワ 40%

アルザスではおなじみの「原酒となるワイン+翌年のモスト(ブドウ搾汁)」で瓶内二次発酵されて造るクレマン ダルザスは、スパークリングワインの造り方としてもっとも好みのスタイルで、ペティアンのような抜栓してみないと仕上がりがわからないギャンブル感もなく、シャンパーニュ他の糖分・酵母添加によって生まれる力強い泡立ちが、繊細なニュアンスをマスクしてしまうこともない、ピュアで生き生きとした味わいが魅力です。

ドメーヌ フィッシュバックのクレマンは、品種がシャルドネとオーセロワということもあり、いわばブラン ド ブランで、爽快さとキレのよい飲み口、余韻の柔らかな果実味が魅力です。

飲み飽きることもなく、飲み疲れることもない。アペリティフから前菜、魚料理とどんなお料理にも相性良く寄り添ってくれるワインです。

使用しているブドウはビオロジックによる栽培で、瓶内二次発酵に際しての糖分添加も酵母添加も行わずに造られたスパークリングワインです。酸化防止剤(亜硫酸塩)に関しては若干量添加されています。

Suff[hic!] Blanc / スフィック ブラン

ヴィンテージ:2020
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:シルヴァネール、オーセロワ、シャスラ

ドメーヌ フィッシュバックのスタンダードレンジのキュヴェとして位置づけられた「スフィック」の白が再入荷です。「スフィック」は「グビグビ飲めちゃう」のようなニュアンスの地元の言葉とかけて名付けられていると言います。

前回のリリース時よりも果実味が豊かになり、香りもフレッシュさが増してきていて、非常に良い状態です。味わいには、ヨーグルトを思わせるフレーバーがあり、旨味が見えそうな濁りと少しピチピチとした微発泡感も相まって、非常に爽快でフレッシュな味わいとなっています。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

p[hic!]-n[hic!] / ピック ニック

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ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:オーセロワ 100%

前回のリリース時も好評で早々に完売したピック ニックですが、11月に訪問した際に現地にあった最後の20ケースを確保し、めでたく再入荷となりました。

フローラルな風味が特徴のオーセロワ 100%のキュヴェで、前回のご案内時も「白い花やヨーグルトのような爽快な香りが広がる、キュートな1本」とご紹介したこのワイン、今回もその延長線上のキュートさがある風味なのですが、同時に香ばしさが感じられるようになっています。

これは、実は理由があって、このキュヴェは熟成中にウイヤージュ(補酒=自然に目減りする分の補填)を行っていないワインでした。こうすることでシェリーのような風味を備えるワインが生まれますが、前回はそのシェリーっぽいニュアンスをほぼ感じず、まさかそのような造り方をしているとは思っておりませんでした(訪問時に発覚しました)。

相変わらずもフルーティーでみずみずしい風味が主体なのですが、熟成を経て大人っぽさが加わり、より一層複雑なバランスのワインとなっています。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

hic![are] / イックエール

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ヴィンテージ:2019
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:ゲヴェルツトラミネール 100%

こちらも再入荷。

いつも控えめな人柄のジャンが「このワインは自信あるんだ。」とオススメしてくれたのが、このイック エールです。

ゲヴェルツトラミネールという華やかな風味を持つ品種を用いて造られたワインですが、白ブドウであるゲヴェルツトラミネールを果皮や種ごと36日もの間、果汁と接触させ続けるマセレーション(醸し)を行い、果皮などから色調と香りとタンニン分を引き出しました。

前回リリース時は、このマセレーション(醸し)からくる香ばしさやタニックな雰囲気が重厚感を出していて、風格感じる味わいだったのですが、ここにきてオリエンタルでエキゾチックな紅茶のフレーバーが爆発する艶っぽい味わいとなっています。

もともとゲヴェルツトラミネールという華やかな風味を持つ品種をドライに仕上げたワインでしたが、時間の経過とともにその本来の華麗さが前面に出てくるようになり、表現力に満ち溢れるワインとなっています。

オススメです!

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

Cosmik / コスミック

ヴィンテージ:NV(18-19-20)
タイプ:白
産地:フランス アルザス地方
品種:リースリング 100%

初めての輸入にライナップにあったリースリング グラン クリュ アルテンベルク ドゥ ベルグビテン 2017。ドメーヌ フィッシュバックの貴重なグラン クリュ(特急畑)から生まれるワインの1つでしたが、その後オファーもなく、ラインナップからも見かけなくなりました。

アルザスの伝統的なスタイルを意識して造られていたキュヴェ(亜硫酸添加)だったこともあり、その後、よりナチュラルでピュアなスタイルにシフトしたジャン ドレフュスが、何かアイデアを試しているのだろうと思っていましたが、ようやく登場したのがこのコスミックです。

なんとグランクリュのリースリングから造ったワインを2018年、2019年、2020年とヴィンテージを継ぎ足しながら熟成をさせ、瓶詰め時も亜硫酸塩(酸化防止剤)無添加で仕上げたワインをリリースしました。

シェリーの熟成法で知られるソレラシステムと同様の熟成を経たこのワインは、さすがグラン クリュと思わせてくれる高いポテンシャルのビシッとしたミネラル感を軸に、若々しくフレッシュな果実味とほのかに感じられるシェリーのような熟成香が同居したユニークなバランスのワインに仕上がっています。

一方で、甘い雰囲気やリースリングの特徴とされる石油香は感じられず、みずみずしさと荘厳さを感じさせてくれるテンションの高いワインという表情もあります。まさに大地に備わった力と人の叡智が高次元で結びついた素晴らしいハーモニーを聞かせてくれるワイン。じっくりと楽しんでいただきたい1本です。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

Suff[hic!] Rouge / スフィック ルージュ

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ヴィンテージ:2020
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%

同名の白ワインと同じくドメーヌ フィシュバックにとってのスタンダードワインと位置づけられたワインで、「スフィック」は「グビグビ飲めちゃう」のようなニュアンスの地元の言葉とかけて名付けられていると言います。

このスフィック ルージュで用いられている品種はピノ ノワールで、マセラシオン(果皮を果汁に浸漬する作業)の期間をやや短くし、フレッシュさと飲み心地の良さを引き出すようにしています。

リリース直後は火山を思わせるスモーキーさが前面に出ておりましたが、現在はもう少しアンニュイな柔らかさが出てきており、じんわりと旨味が広がる奥行きのある果実味が感じられるようになってきました。

果実味のニュアンスもカシスからラズベリーの雰囲気にややシフトし、鮮やかなコントラストを感じられる味わいとなっています。

このワインは、ビオロジックで栽培されたブドウを手摘みで収穫し、自然酵母のみで発酵。厳密な濾過(ろか)や清澄も行わず、瓶詰め時に至るまで亜硫酸塩(酸化防止剤)も無添加で造られます。

Pinot Noir Graureben / ピノ ノワール グラウレーベン

ヴィンテージ:2018
タイプ:赤
産地:フランス アルザス地方
品種:ピノ ノワール 100%

ドメーヌ フィッシュバックが拠点を置くストラスブール近郊のアルザスの北部で生まれるピノ ノワールには、どこか共通した火山のような力強い風味を感じることが多いのですが、このグラウレーベンは樹齢がおよそ70年ということもあって、その畑由来のニュアンスがさらに凝縮されたワインとなっています。

加えて2018年は暑い夏に見舞われた年ということで、果実の凝縮度もより高く、様々な複雑味を内包した風格あるワインとなっています。

初リリースの時よりも時間の経過によって様々な要素が混ざり合い、よりつなぎ目の無いなめらかな味わいへと変化してきています。

このヴィンテージに関しては瓶詰め時に亜硫酸(酸化防止剤)を少量添加していることもあって、いわゆる緩さはなく、1歩1歩着実に熟成による変化を重ねていっているという印象です。